「断捨離」という言葉を聞いて、なんとなく「モノを減らす」ということをイメージする方もいると思います。
もちろんそれは間違いではありません。ただ、仏教との関係性についても考えていくと、より深く断捨離について理解することができます。
漠然と断捨離をするよりも、きちんと意味を理解して自分の中に落とし込んでからの方が、納得感を持って断捨離できるでしょう。
この記事では、そのような仏教と断捨離の関係性などについて解説していきます。
もくじ
断捨離と仏教の関係性
「断捨離」という言葉は、もともとヨガの「断行・捨行・離行」という考え方に由来しています。
それぞれの意味は以下の通りです。
- 断行:不要なものを断つ
- 捨行:不要なものを捨てる
- 離行:執着から離れる
これは、自分にとって不要なものを「断ち・捨てて・離れる」ことで、欲望や執着心を手放し人生を豊かにするという考え方です。
このように、断捨離という言葉自体はヨガが発祥ですが、考え方に関しては仏教において古くから同じものがあります。
仏教における「欲望を捨て去り俗世を離れるための修行」が、断捨離を作り上げるひとつの要素として成り立っているのです。
断捨離に活かせる仏教の考え
仏教において、掃除の時間は「心を磨くための修行である」というように考えられています。
先ほどご説明した通り、断捨離の考え方には仏教と通じるものがあります。掃除を通じてさまざまなものを断捨離することで、心がスッキリして豊かな人生に近づくのです。
具体的には、以下のような考え方があります。
執着心を捨てる
仏教では、出家をすることで俗世から離れ執着心を捨てられる、というように考えられています。
この俗世に当てはまるのは、飲酒や金銭関係、異性関係などです。現代社会には、こうした俗世に関するものが原因で悩む方も大勢います。
このような欲望を手放し、必要最低限のものだけを揃えて身軽に生きることで、快適に暮らすことができるのです。
断捨離によって掃除をすることで、さまざまな不用品を手放すことになるため、執着心を捨てることができます。
モノの大切さを知る
断捨離をすることで、手持ちのモノの数は必要最低限になります。それらを乱雑に扱うことはできません。丁寧に手入れをし使い続けることで、モノの大切さを知ることができます。
「モノを大切にする」ということは、仏教においても浸透している考え方です。例えば「後生大事にする」という言葉などに代表されますね。
部屋の乱れは心の乱れ
「部屋の乱れは心の乱れ」という言葉を聞いたことがある方も、多いのではないでしょうか?この言葉自体は、仏教発祥ではありません。
ただ、心に余裕がなかったりすると、部屋の断捨離にまで手が回らないことはあります。そうした意味で、この言葉も仏教の考え方と同じように、掃除や断捨離に重きを置いているということがわかります。
仏教や禅から学ぶおすすめの掃除本
このように、直接的ではないにしても、断捨離と仏教は関わり合っています。
漠然と断捨離するだけでなく、仏教の考え方も頭に入れた上で「どうして自分は掃除をするのか?」ということを考えられると良いですね。
こうした仏教などの考え方をもとにした掃除本も出版されています。なかなか断捨離へのモチベーションが出ないときは、以下の本を読んで、改めて断捨離に取り組む意味を考えてみましょう。
お坊さんが教えるこころが整う掃除の本
こちらは、東京にある光明寺の僧侶でもあり、お寺カフェの運営や仏教徒ウェブサイトの設立など多方面で活躍する松本圭介氏による1冊です。
本書は、断捨離の具体的な方法の解説がメインではありません。それよりも「どのように掃除に向き合うのか」についての内容が丁寧に書かれています。
仏教においての「掃除に対する考え方」を知ることで、漠然と断捨離に取り組むのではなく、ひとつひとつの行動に意味を持たせることができます。
こころを磨くSOJIの習慣
こちらも上記と同じく松本圭介氏(著者名としては”紹圭”)による1冊です。
世界経済フォーラムへの参画など世界的にも活動している松本氏が、さまざまな宗派の僧侶との対談を通じて「掃除がどのように人を成長させるのか?」について触れていく内容となっています。
世界でも注目されている日本の「SOJI」についてを、世界的な僧侶が説いていきます。
禅に学ぶくらしの整え方
こちらは、曹洞宗八屋山普門寺の副住職である吉村昇洋氏による1冊です。禅における考え方をもとにして、普段から活用できる掃除の方法や考え方などを紹介しています。
終盤には、断捨離に関して多くの方が持ちそうな疑問についてをQ&A形式で掲載。知識を入れるだけでなく、日頃抱えているであろう疑問をスッキリさせてから断捨離に臨むことができます。